「おにどこ」実験データを活用した豊橋技術科学大学での研究のご紹介

今回はCode for MIKAWAも協力を行った「おにどこ」実証実験で得られたデータを活用して、豊橋技術科学大学のユビキタスシステム研究室(大村研究室)で行われた研究についてご紹介します。

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豊橋鬼祭は毎年2月に行われる安久美神戸神明社の祭礼です。祭りのクライマックスでは赤鬼と天狗が神社の境内を出て町を練り歩きます。このとき鬼は厄除けになるというタンキリ飴と白い粉(小麦粉)をまきます。

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この鬼と天狗がどこにいるかをGPSで追跡し、観客が鬼や天狗に会いに行く手助けをするのが「おにどこ」です。豊橋技術科学大学のユビキタスシステム研究室(大村研究室)、建築設計情報学研究室(水谷研究室)、株式会社 ウェブインパクトによって開発、運用実験が行われました。
Code for MIKAWAも実証実験の協力をさせていただきました。

おにどこの概要については、以下のチラシをご覧ください。
おにどこ概要

おにどこの詳細については以下の記事もご覧ください。
・2/11 「おにどこ」の実証実験への協力
・鬼才×奇祭、スマホ片手にGPSで鬼を追跡! #豊橋鬼祭
・鬼に金棒?いや、いまどきは鬼にスマホ!?

おにどこを通して、鬼と天狗の移動予定ルートおよび実際に移動したルートのデータが得られました。
これらは安久美神戸神明社様のご理解とご協力を頂きまして、Open Data HIGASHI-MIKAWAにて以下のURLより公開されました。

また、観客がおにどこを使用した時間と位置のデータも運用を通して得ることができました。さらに、ユーザの皆様からアンケートにご回答いただき、おにどこの改善すべき点や祭りの楽しみ方について様々なご意見をいただきました。
鬼祭会場周辺のユーザの分布を示したのが以下の図になります。
GPSに基づく会場周辺のユーザ位置

これらのデータを基に、観客が祭りをどのように楽しんでいたかについて、豊橋技術科学大学ユビキタスシステム研究室の山下が分析、研究を行いました。
当初は、ユーザは基本的におにどこの情報を基に鬼や天狗のところへ移動するものと思われていました。しかし研究の結果、祭りの会場には来ずに遠くからおにどこを通して祭りの状況を見て楽しむ人や、鬼や天狗の移動ルートの近くであまり移動せずに鬼や天狗が来るのを待つ人などがいたことが明らかになりました。
ユーザ移動地図比較

この研究は、豊橋技術科学大学のユビキタスシステム研究室(大村研究室)に所属する山下賢治(たかはる)君により、9月1日(土)に行われた情報処理学会 ユビキタスコンピューティングシステム研究会の研究発表会にて発表されました。研究発表会の詳細については以下のページをご覧ください。
・第59回研究会 | IPSJ SIGUBI

また9月26日(水)には、豊橋サイエンスコア内のコワーキングスペース「スタートアップガレージ」にて、おにどこの関係者を集めて研究についての説明が行われました。開発に関わったウェブインパクトの皆様や、地元の祭りに関心のある方々などに来ていただき、様々な質問、感想をいただきました。
・Startup Garage – 豊橋サイエンスコアに新設されたコワーキングスペース
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この研究により、祭りの楽しみ方についていままで注目されていなかった様々な側面が見えてきました。 それは、祭りの会場には来ずに遠くからおにどこを通して祭りの状況を見て楽しむ人や、鬼や天狗の移動ルートの近くであまり移動せずに鬼や天狗が来るのを待つ人など、新たな行動様式に関する知見です。

アプリの開発によって祭りの参加者に利便性を提供できただけでなく、今後につながる知見を得られたことで、その知見も活かした研究が続けられています。

Code for MIKAWAはこれらの知見を活かしながら、今後も豊橋の活性化につながる活動を行っていきたいと思います。