IODD名古屋参加報告とCartoDB&豊橋に於ける「保育園落ちた」問題

  • <IODD名古屋参加とCartoDB>

先日(3月5日)、Code4Nagoyaが主催するイベント 「オープンデータを見える化して課題を発見しよう ~インターナショナル・オープンデータ・デイ2016名古屋 ~」 にCode4MIKAWA(設立準備中)のメンバー4名で参加してきました。 主な内容としては、OPENDATAを活用した社会問題の見える化をテーマに据えて、前半はツール紹介、後半はハッカソン、 最後は懇親会で交流といった流れで進行頂きました。

IODD名古屋2016

今回「見える化」に際し Code4NAGOYAの宮内(はじめ)様にご紹介頂いたデータビジュアライゼーションツールは、この分野でメジャーなD3.jsE2D3をはじめ、今熱いと噂の「CartoDB」というクラウドサービスでした。このサービスには「地図ベースの見える化」に必要なデータ収録機能とマッピング機能が予め用意されているので、アカウントを作成すれば、ほぼノンプログラミングで問題の「見える化」ができちゃいます。 D3.jsで豊橋市の人口階級分布地図(choropleth map)とかやったりしてた自分には、あまりに簡単お手軽な環境が整備されているという事実にカルチャーショックを受けました。技術進歩万歳! また、ハッカソンや懇親会等の交流を通して大変刺激を受けた1日となりました。Code4NAGOYAの皆様、MIKAWAのメンバーを快く迎え入れて頂き誠にありがとうございました。

  • <豊橋市のOPENDATA活用「保育園落ちた日本死ね!!!」>

という訳で、IODD名古屋の復習も兼ねて、CartoDBを利用した豊橋市OPENDATAの活用をしてみました。 テーマは、今話題の待機児童を取り扱った匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」問題がここ豊橋ではどの程度起きているのかです。

※地図枠が狭いので、枠内の左上部2段目「全画面表示」ボタンをご利用頂けると幸せになれます。

保育園をクリックすると、各施設のサービス内容も閲覧できるので、少し前に話題になったCode4Sapporoの「さっぽろパパマママップ」と 同じような使い方も可能ですが、詳しくは下記の豊橋市保育所一覧内の保育サービスと合わせてご確認願います。 また、豊橋市南部保育事業協会の作成する「豊橋市保育園マップ」というものも存在するようですので、そちらも参考にして頂くと良いでしょう。

<作り方> 材料は以下の通り。 近年、豊橋市でも公共データのOPENDATA化が進んでいて、非常に助かりますね。(^^;

これらの材料をCartoDBに読み込ませてデータセットを作成、そのデータセットに対しSQLを使いデータの抽出やマージ等の加工を行います。 次に表示に関わる設定とHTMLとCSSを最終調整すると…あら不思議。 地図に保育園(サービス内容含む)のマッピングと豊橋市の行政境毎の5歳以下人口分布図があっという間*にできあがるんです。 ※実はデータそのものに少々難ありましたが…(後述)。

  • <「見える化」して分かったこと>

※ここからは単にデータを通して得られた「私見」となるので、実状と異なる可能性が十分にあり得えます。この点は予めご承知おきください。

豊橋の保育園・認定保育園の定員数(8,390定員数)に対し、実際の待機児童が約2.4倍(20,441人)いるということが データ上から分かりました。この数値に幼稚園や非公認の保育施設は含まていないので、一概に不足しているとは言いがたい状況では あるものの、政府の「1億総活躍社会」のかけ声とは裏腹に働くパパとママにとってはやや厳しい状況なのかもしれません。

また、5歳以下人口の階級分布地図(choropleth map)より、定員数の大きな保育施設と多数の待機児童が居住している地域が離れているため、利用者が最寄り施設の定員オーバー等の事由により、生活圏外への送迎が必要になるケースが多発すると推測されるため、需要と供給のロケーションミスマッチが起きているのではという印象を受けました。 殊に昔地域の保育機能を担っていた市街地のお寺・団塊の世代向けに住宅地として開発された地域の子育ニーズは、既に収束期に入っているにも関わらず、そこに残された保育施設はそのまま運営を続けています。ところが一方で、子孫の世代はマイカーの普及とともに徐々に郊外へと居を移した結果、市街地の空洞化とともに郊外の待機児童数を押し上げ、住居地域と保育施設との距離を拡げたものと考えられます。

豊橋の郊外人口増加期の様子

  1. http://www.toyooka-j.toyohashi.ed.jp/toyooka-j/rekishi/rekishi.htm
  2. http://www.fudedechikuwa.com/takatoyo/lake.html
  • <データ活用にやや難あり、注意点>

その1)CartoDBへの更新は即時反映されない場合がある。

CartoDBの機能自体は素晴らしいのですが、データ操作の反映に時間が掛かる場合があるようです。 最初操作ミスかと思いましたが、しばらくして反映されたので、うまくいかない場合はしばらく時間をおいてから確認すると良いでしょう。

その2)豊橋市の行政境表記と政府統計局の行政境・表記が異なる場合がある。

今回の地図を製作するにあたり、豊橋市の行政境表記と政府統計局(e-Statの国勢調査境界)のデータの関連付けに行政境名称を使いましたが、機械的に完全な関連付けが困難でした。よって、本成果に誤りがある可能性があります。 具体的な問題点は以下の通りです。

問題点1) 豊橋市の行政境名称と政府統計局の国勢調査境界の不一致。
例)豊橋港、神野ふ頭町、明海町(他、牟呂町字扇田をはじめ、全16箇所)
これらは国勢調査境界には存在するが、豊橋市の行政境名称としては存在しませんでした。

問題点2) 豊橋市の行政境名称と政府統計局の国勢調査境界名称の表記法が異なる、
例)アラビア数字と漢数字問題 
    (豊橋市)東岩田四丁目 に対して、(国勢調査境界)東岩田4丁目

例)旧字・異字体問題 
    (豊橋市)梅薮町 に対して、(国勢調査境界)梅藪町
これらのデータは人手により同一と考えられる政境のデータの関連づけを必要としました。

こういった問題は、予め行政組織間で行政境のコード化や表記の統制を配慮しておけば、OPENDATAのさらなる活用と発展に繋がるものと考えられます。今後に期待したいですね。

以上、ダラダラと長文にお付き合い頂きありがとうございました。