こんにちは、豊橋技術科学大学 ユビキタスシステム研究室(大村研究室) 学部4年の宇野 葵です。 Code for Japanが勧めている「OPEN EATS JAPAN」というプロジェクトに沿ったデータを目指し、先日公開しました食べてみりんのオープンデータについてフォーマット変更や項目の追加などを行いました。
「OPEN EATS JAPAN」は全国の飲食店情報をオープン化し、広く社会で共有するためのプロジェクトです。
食べてみりんプロジェクト
食べてみりんプロジェクトは、豊橋市内のテイクアウト・デリバリーを中心とした飲食店の情報を統合化し、まちのオープンデータとして発信することを目的とするプロジェクトです。
現在、以下のサイト、冊子の運営者様よりデータ提供のご協力を頂き、情報を統合編纂しています。
- 豊橋商工会議所 食べて応援!プロジェクト掲示板
- 株式会社フェニックス・はなまるプラス 東三河食べ支えプロジェクト@豊橋
- 「HANAMARU PLUS 6月号」 テイクアウト特集ページ
- おうちでお店ごはん豊橋
食べてみりんとは、豊橋の飲食店のテイクアウトやデリバリー情報をマップ上にまとめたwebアプリケーションです。 また、飲食店のSNSなどの投稿をまとめた掲示板や、豊橋の飲食店に関するイベント情報やキッチンカーの出店情報なども見ることができます。
- 食べてみりん
https://tabetemi.jp
この公開にあわせて、食べてみりんで使用しているデータをOpen Data HIGASHI-MIKAWAへオープンデータとして公開しております。
- 食べてみりんプロジェクト(Open Data HIGASHI-MIKAWA)
https://opendata-east-mikawa.jp/node/1973
OPEN EATS JAPAN
OPEN EATS JAPANはCode for Japanが立ち上げたプロジェクトで、飲食店情報をオープン化し、広く社会で共有するためのプロジェクトが立ち上がっています。 このプロジェクトでは、すでに飲食店情報やテイクアウト、デリバリー情報をまとめたアプリやサービスを運営している民間企業や、各地のシビテック団体と協力し、飲食店データやサービスデザインを共有しております。
標準フォーマットに関する関する議論やドキュメントのバージョン管理は以下のGitHubリポジトリ上で行われています。
OPEN EATS JAPANへの対応について
食べてみりんの項目をOPEN EATS JAPANに対応させるべく以下のような手順でデータの変更などを行いました。
項目の比較
まず行った内容としては、OPEN EATS JAPANで定めているフォーマットを列挙し食べてみりんの項目との比較を行いました。
OPEN EATS JAPANでは、以下のように飲食店情報をオープンデータとして公開する際の標準的なフォーマットを定めております。
- 飲食店情報オープンデータ項目定義書
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1fneMd1HGSnWZAaRyK_r2MWKxwujRqC7A/edit#gid=1513166793
項目を比較した際に、食べてみりんの項目をそのまま残せる、項目のフォーマットを変更する、新しく項目を追加するという3つの場合分けを行いました。
項目のフォーマット変更と追加
項目のフォーマット変更と追加は、食べてみりんの台帳に新しい項目として付け加える形で行いました。
フォーマット変更
まず、項目のフォーマット変更についてです。フォーマット変更では、食べてみりんの項目をOPEN EATS JAPANの項目定義書に書かれているような、定められている形に直すということを行いました。
定休日や営業時間については、複数ある場合の区切り文字を変更する必要がありました。 例えば定休日について、食べてみりんでは、「土曜日・水曜日・木曜日」といったように全角中点やスペースで区切られていました。対してOPEN EATS JAPANでは、区切り文字をセミコロン「;」にするという指定がありましたので、文字を置き換える関数を用いて対応しました。
テイクアウト、デリバリー対応フラグについては、食べてみりんでは対応している場合は「有」、していない場合は空白でした。対してOPEN EATS JAPANでは、対応しているかいないかは「1」と「0」という指定でした。ですので、テイクアウト、デリバリー対応フラグだけでなく、食べてみりんではネット予約やちょいタク対応といったものもオープンデータとして公開しているので、そちらも含め「1」と「0」にフォーマットを変更しました。
項目の追加
次に、項目の追加についてです。項目の追加では、食べてみりんの項目を分解したり、新しい項目として追加するということを行いました。
住所関連についてOPEN EATS JAPANでは、住所を都道府県名、市区町村名の他に町域名以降や建物名まで分解した項目がありました。これらについては、食べてみりんに登録されてある住所を対応する部分ごとに抜き出し分解しました。
また、OPEN EATS JAPANでは、総務省が定めている産業分類コードが必須項目となっていました。こちらについては、食べてみりんの店舗ごとのメインジャンルを参考にし、対応する産業分類コードを割り当て適応しました。
オープンデータの公開
このようにして変更を加えた項目、追加した項目を現在公開しているオープンデータに反映させました。
オープンデータはOpen Data HIGASHI-MIKAWAで公開をしております。
- 食べてみりんプロジェクト(Open Data HIGASHI-MIKAWA)
https://opendata-east-mikawa.jp/node/1973
気づいたこと
「食べてみりん」と「OPEN EATS JAPAN」の項目を比較した際に気づいたこと、思ったことをいくつかまとめたいと思います。
まず、OPEN EATS JAPANでは、産業分類コードや住所の書き方など行政が定めている表記にしている項目が多い点がありました。 食べてみりんでは”豊橋市内”という限定的なアプリケーションやオープンデータであったためあまり気にしなかった部分でも、全国区となった場合に表記の統一性が欠けてしまいます。 なので、オープンデータとして公開する際には、なるべく既存の定まっているフォーマットをベースに変更しなおすことが大切だと思いました。
OPEN EATS JAPANで気になった点としては、テイクアウトとデリバリーの対応のみしか項目がないというところがあります。食べてみりんでは、テイクアウトとデリバリーの他にネット販売もあります。他にも出前館や、豊橋市内だけですが「東三河食べ支えプロジェクト@豊橋」と「豊橋タクシー協会」が連携したちょいタクといった別のサービスの対応も行っています。 飲食店自身が配達を行えない場合は、このような別のサービスを利用している場合もあります。特に最近では「Uber Eats」が全国的に広がってきており、他のデリバリーサービスも多数あります。 宅配サービスを利用したケースもあるので、いくつかのサービスをピックアップしたり、宅配サービスURLを載せることで直接アクセスしやすくできると良いのではないかと思いました。
最後に
OPEN EATS JAPANは、全国的にオープンデータのフォーマット統制を促しています。 オープンデータごとにフォーマットが異なっている場合、それを使用するアプリ側が各データごとにフォーマットを整える必要が出てきます。 なので、すでに項目のルールが統一化されていることにより複数のオープンデータを同時に使いやすくなり、様々な人に使用してもらいやすくなります。
2020年12月15日に、「食べてみりんプロジェクト」もOPEN EATS JAPANの飲食店データの協力団体として参加させて頂きました!
- OPEN-EATS-JAPAN
https://github.com/codeforjapan/OPEN-EATS-JAPAN
食べてみりんプロジェクトをはじめ、OPEN EATS JAPANに対応している飲食店のオープンデータは他にもあり、使いやすいデータになっておりますので、ぜひ使用してみてください。