2018~2020年まで「おにどこ」は年を重ねるごとに新機能の開発を行い、豊橋鬼祭をサポートしてきました。 しかし、2021年~2022年とコロナの影響で豊橋鬼祭の門寄り(赤鬼や天狗が周辺の町内を回って厄除けすること)が中止となり、「おにどこ」の継続が危ぶまれる事態となりました。
そのような状況下でも「おにどこ」としてできることを考え、様々な模索とチャレンジをしてきた結果、2023年にはついに豊橋鬼祭の門寄りが再開され、「おにどこ」も本来の形で実施・復活することができました。
コロナ前のおにどこ(2018~2020年)
コロナ前は以下の写真にあるように、たくさんの人が豊橋鬼祭に訪れ、楽しんでいる様子が分かります。
コロナ前の「おにどこ」について詳しくは以下の記事にまとめられていますので、ぜひご覧ください。
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2018/2/11 「おにどこ」の実証実験への協力
https://uzura.org/archives/1401 -
2019/2/11「おにどこ」実証実験に協力させて頂きました
https://uzura.org/archives/2040
コロナ禍のおにどこ(2021~2022年)
2020年3月頃から日本でも新型コロナウイルス感染症の流行が拡大とともにコロナ禍となり、2020年4月7日には緊急事態宣言の発令に至るまでとなりました。 その後は緊急事態宣言が一旦解除されても、新型コロナウイルスの感染症の拡大に伴って再び緊急事態宣言が発令されるなど、これまで通りの生活様式が一変してしまいました。
その影響で豊橋鬼祭の門寄り自体が中止されることになり、開催場所となる安久美神戸神明社には関係者以外は立寄り禁止という事態となってしまいました。
そのときの写真が以下になります。
先のコロナ前と比較して頂くと、人がほとんどいない、とても寂しい状態で開催されたことが分かります。
コロナを乗り越えて復活したおにどこ(2023年)
このコロナという苦難を様々な模索とチャレンジを通して乗り越え、2023年には「おにどこ」をついに従来の門寄りをする形で復活・実施することができました。
2023年の豊橋鬼祭当日、安久美神戸神明社には多くの方が参拝され、コロナ前の以前と同じくらい活気を取り戻しました。
「おにどこ」は多くの方にご利用頂き、アンケート結果から95%近くの人に便利だったとのお声を頂いた通り、お役に立つことができました。 具体的にはおにどこのネイティブアプリはiOS、Androidあわせて2113人もの方にインストールしてご利用頂き、ウェブサイトには1万人近くもの人にご利用頂くことができました。
こうして無事に復活を遂げた「おにどこ」ですが、コロナ禍には様々な苦難がありました。
コロナ禍の振り返り
コロナ禍でも「おにどこ」としてできることを模索しながら、チャレンジした新たな試みをご紹介します。
2021年:中止となった「門寄り」をオンラインで!
おにどこアプリは赤鬼・天狗が今どこにいるかを表示することがメインの機能であるため、「門寄り」が中止となってしまうと、根本の機能が成り立たなくなってしまいます。 そこで、「門寄り」を中止となったなら、仮想的に門寄りを再現して、来年の開催を願えるものにしようという考えに至りました。
2021年は新たな試みとして、以下の機能をおにどこアプリに実装いたしました。
1. AIRおにどこ
1年前(2020年)に赤鬼が実際に移動した位置情報のログデータをもとに、リプレイのように再生する機能を用意しました。 以下の画面で赤鬼の位置が表示されておりますが、こちらは1年前(2020年)の位置をもとに表示しています。
2. おにストリートビュー
「赤鬼」のアイコンをタップすると「赤鬼」が巡行する町並みが写し出されたストリートビュー(360度写真)を体験することができます。 また、おにカメラを使って、仮想上で移動する赤鬼を現実の都市空間にAR(拡張現実) 表示することができます。
3. AR門寄り
マーカーにカメラを向けると、ARカメラ上に赤鬼が登場します。
4. おにカメラ
赤鬼がいる位置(仮想)にカメラを向けると、GPSの位置情報をもとにARカメラ上に赤鬼が登場します。
2022年:AR門寄りで門寄りを再現し、いつでもどこでも楽しめるように!
2022年になってもまだコロナ禍は続いている状況で、2021年に引き続き、門寄りは中止という事態となりました。
この状況下でも「おにどこ」ができることとして、2022年はいつでもどこでも赤鬼をARカメラで登場させ、門寄りを再現することができるAR門寄りの機能を拡充することにしました。
- ARモデルのアップデート
赤鬼モデルがアップデートされ、より見やすくなりました。
- ARJSによる撮影機能
ARマーカーにカメラをかざすと、AR(拡張現実)にて画面に「赤鬼」が登場し、撮影することができるようになりました。 以下の写真はまちなか図書館に掲載されたおにどこのポスター上のマーカーで「赤鬼」を登場させ、撮影したものです。
この「おにどこ」は豊橋技術科学大学のユビキタスシステム研究室(大村研究室)、建築設計情報学研究室(水谷研究室)と共同で実施し、産学連携で取り組んでいます。
「おにどこ」はアプリのシステム開発等をWEBIMPACT、大村研究室が担当し、門寄りのルート、スポット登録といった都市空間利用にまつわる部分、アプリ内のデザイン(アイコン)の作成や360°カメラによるストリートビューの撮影、3Dモデルの作成の部分を水谷研究室が担当し、協力して作られました。
豊橋技術科学大学の水谷研究室の学生さんが「おにどこ」プロジェクトのこれまでの取り組みをきれいにまとめて頂いているので、ぜひこちらもご覧ください。
- 「おにどこ」プロジェクトについて | 豊橋技術科学大学水谷研究室
https://note.com/mizuta2lab/n/n2b0a19775e3e
コロナ禍を経て、実証実験から社会実装へ
このように「おにどこ」は、2021年から2022年にかけてのコロナ禍において、多くの模索とチャレンジを経て、2023年も継続することができました。
「門寄り」の中止という「おにどこ」の存在意義を問われるような状況になったとしても、仮想的な門寄りを再現できるようにしたり、 AR門寄りによりいつでもどこでも赤鬼に会えるようにしたりすることで、当初は考えていなかった、いつでもどこでも楽しめるような機能が実現できました。
これはコロナが落ち着きつつある現在でも有効に活用でき、皆さんに楽しんでもらえる機能です。 コロナという状況にならなければ、このような機能はそもそも思いつかなかったかもしれません。 これは困難な状況の中でもすぐに諦めるのではなく、自分たちにできることを考え、チャレンジしてきた結果と考えています。
また、2022年までは「おにどこ」は実証実験という形で実施してきましたが、2023年より実装実験で得られた成果を実際に事業化し普及・定着させる社会実装へとステップアップしていく段階となりました。2023年は「おにどこ」のシステムの柔軟性や拡張性を高くするとともに、ルート、スポットなどのデータの更新作業を手間をかけず、容易にできるようにし、メンテナンスコストを可能な限り下げ、継続的に運用できるような体制を目指しました。
2023年は実証実験から社会実装への移行の第一歩とすることができ、今後もシステムの持続的な運用を目指していきます。