2019/2/11「おにどこ」実証実験に協力させて頂きました

昨年に引き続き、2019/2/11(日)に「おにどこ」の実証実験がおにどこ実行委員会によって行われ、Code for MIKAWAも実証実験の協力をさせて頂きました。

「豊橋鬼祭」の赤鬼と天狗の位置を表示するアプリ「おにどこ」も2年目となり、今年はネイティブアプリ化ターゲットモード、通過判定、おに熱などの新機能の追加など新たな試みに挑戦しました!
その結果、今年は 2,976人という、昨年の1.5倍以上の多くのユーザに使っていただくことができ、アンケートでは9割以上の方から便利だったと評価頂くことができました!
さらにアンケートやアクセスログのデータを用いた研究により、祭りの楽しみ方に関する様々な知見が得られましたので、本記事でご紹介したいと思います。

「豊橋鬼祭」とは

「豊橋鬼祭」は東三河に春の訪れを告げる安久美神戸神明社の祭礼として、毎年2月10日、11日に行われる愛知県豊橋市の伝統的な神事です。
約1000年の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財として指定されています。
この祭りには「赤鬼と天狗のからかい」といって、荒ぶる神である赤鬼と武神の天狗が戦って、赤鬼が打ち負かされて反省する様子を表す神事があります。反省した赤鬼は償いとして、タンキリ飴と白い粉(小麦粉)をまきながら境内を出て町を駆け回ります。粉と飴には厄除けの効果があると言われています。またこのとき天狗も赤鬼を追って町を駆け回ります。
祭りに来た人たちは、赤鬼や天狗を探して町を歩き回ったり、家で彼らが来るのを待ったりします。

・【神社公式】国指定重要無形民俗文化財「豊橋鬼祭」
https://padlet.com/akumikanbe/onimatsuri

「おにどこ」とは

伝統あるお祭りと最新テクノロジーのコラボレーション!

「おにどこ」は、そんな「豊橋鬼祭」をより楽しむためのアプリです。町を駆け回る赤鬼と天狗の位置を配信し、祭りに来た皆様が彼らに会う手助けをします。
昨年初めて導入され、今年は昨年得た知見や反省を活かし様々なアップグレードが行われました。
昨年の「おにどこ」については、以下の記事をぜひご覧ください。

・2/11 「おにどこ」の実証実験への協力
https://uzura.org/archives/1401

「おにどこ」の概要については、以下のチラシやホームページもご覧ください。

出力見本_表 出力見本_裏
・おにどこ
https://o2doko.com/

今年行われた新たな取り組みとしては、大きく以下の4つがあります。

  • ネイティブアプリ:昨年はWebアプリとしてのみの実装でしたが、今年はスマホアプリとしても実装されました。一度アプリをダウンロードすれば、QRコードが手元に無くてもスマホから簡単に利用できるようになりました。
  • ターゲットモード:赤鬼や天狗の移動を自動で追跡する新機能 。
  • 通過判定:鬼や天狗が神社や会所を通過したら、そこを「通過済み」と表示するようにしました。どこまで進んでいるかが分かりやすくなりました。
  • おに熱:「豊橋鬼祭」に関するツイートがどこで行われているかヒートマップで見ることができる新機能。祭りが盛り上がっている所が分かりやすくなりました。

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反響と結果

ユーザ数の結果

スマホアプリはiPhoneとAndroidで合わせて1,854人もの方にダウンロードして頂きました。
祭り当日のページビューは5,624件もあり、ユニークユーザ数は2,976人になりました。
昨年のユニークユーザ数1,765人に対し、1.5倍以上に増加しています。

祭り当日のユニークユーザ数2,976人のうち、その日初めてアクセスした人は2,401人でした。
彼らがどこからアクセスしたか調べたところ、以下の円グラフに示す結果となりました。

祭り当日のユーザ流入経路

ダイレクトなアクセスが半数以上を占め、次に検索からのアクセスが多くなっています。
このダイレクトにアクセスした1,249人のうち、ネイティブアプリを介してアクセスしてきた人は775人で全体の32%、QRコードからアクセスした人は310人で全体の13%、それ以外のURLなどからアクセスした人は164人で全体の7%でした。

「おにどこ」では、宣伝のために本記事の冒頭に示したようなチラシを配布していました。事前に市役所や豊橋技術科学大学などで配布された他、祭りの当日の神社でも配布されました。
それだけでなく、神社で祭り参加者に配布されている鬼祭のしおりや、祭り当日に配布される鬼祭のチラシにも「おにどこ」のことを記載していただくことができました。
チラシやしおりのそれぞれには、「おにどこ」のホームページへのQRコードを記載していました。
これらのQRコードからの流入者が310人ということから、インターネットが普及した現在でも紙媒体から情報を得て利用してくださる方が中々の割合でいるということが分かります。

そして、今回は各QRコードからどれほどのユーザがアクセスしてきたか調査するため、QRコードのURLにパラメータを付与しており、各QRコードからのアクセスを判別できるようにしていました。
QRコードからやってきた新規ユーザ310人のうち、何人がどのQRコードを利用していたかを以下にグラフで示します。

QRコードからの流入者の内訳

大半が「おにどこ」自体のチラシからのアクセスで、祭りのしおりやチラシからのアクセスは少数でした。
理由として、安久美神戸神明社のしおりやチラシは「豊橋鬼祭」そのものに関する情報がメインで、「おにどこ」については副次的な扱いとなっていました。対して「おにどこ」のチラシには「おにどこ」の話がメインですので、そこからの流入が多かったと考えられます。そして、「おにどこ」当日に豊橋技術科学大学の学生がチラシを頑張って配ってくれたのも理由の一つです!

アンケートの結果

ユーザからの評価や、どのように「おにどこ」が使われたかを調べるためのアンケートには、374名もの人からご回答を頂きました。
回答者の9割以上の方から、「おにどこ」は便利だったとのお声を頂くことができました。

アンケートの利便性のグラフ

アンケートで昨年の「おにどこ」を使ったかどうか、使った人は昨年と今年で比べてどう変化したと感じたか質問したところ、以下の結果を得ました。

アンケート_昨年との比較

回答者の7割は今年初めて「おにどこ」を使った人のようでした。また昨年の「おにどこ」を使った人からは、昨年より便利になった、もしくは昨年から変わらず便利だと評価して頂けているようです。

また回答者がどのような立場から「豊橋鬼祭」に参加していたか訊いたところ、以下の結果を得ました。

ユーザの立場

6割は観客でしたが、「豊橋鬼祭」を運営する立場の人達も「おにどこ」を利用していたことが分かります。鬼と天狗が道中で鉢合わせしないように調整したり、神社や会所で鬼や天狗の到着に合わせて準備をしたりといった形で役立てていただいたようです。
さらに、現地には来ずに「おにどこ」を通して祭りを楽しんだ方も2割近くいたことが分かりました。以前祭りに来たことがあるが今回は来られなかった、というような方が「おにどこ」を通して祭りを楽しむなどしていたようです。

また観客の中にも、鬼や天狗の位置を知ってそこに直接向かって会いに行った人だけでなく、家などで鬼や天狗が近くに来るのを待った人など、様々な行動パターンがあることが分かりました。
昨年のアンケートで明らかになった部分もありますが、今年は回答者が増えた分だけより多く、細かな行動パターンを知ることができました。
以下に主な行動パターンの一覧を示します。

  • 鬼や天狗に会う前の行動パターン
    • 直接鬼や天狗のもとに向かい会いに行った
    • 鬼や天狗が通る道を知り、その近くに行って彼らが来るのを待った
    • 鬼や天狗がの通り道の近くで、彼らが来るまでの間に屋台に行くなどしていた
    • 自宅などで鬼や天狗が近くに来るのを待った
  • 鬼や天狗に会った後の行動パターン
    • 鬼や天狗に一度会って満足して帰った
    • 鬼や天狗を追いかけて何度も会った
    • 一旦家に帰って、しばらくしてもう一度会いに行った
    • 一旦家に帰って、その後は家から「おにどこ」を通して祭りを楽しんだ

研究による知見

豊橋技術科学大学では、おにどこ実行委員会と関わりのある学生達が、アンケートの回答やアクセスログなどのデータから様々な知見を得ようと研究を行っています。上述したユーザの行動パターンなどを知ることで、「おにどこ」の改善などに活用していく予定です。
下の記事は昨年の研究の紹介です。

・「おにどこ」実験データを活用した豊橋技術科学大学での研究のご紹介
https://uzura.org/archives/1685

「おにどこ」を最初に実施する以前、おにどこ実行委員会ではユーザの行動パターンとして、「おにどこ」を見て赤鬼や天狗の所に移動する人が主だと想定していました。
しかし昨年の「おにどこ」のアンケートやデータから、祭りの会場には来ずに遠くからおにどこを通して祭りの状況を見て楽しむ人や、鬼や天狗の移動ルートの近くであまり移動せずに鬼や天狗が来るのを待つ人など、想定と異なる行動も多々あることが明らかになっていました。
今年のアンケートでは、前述したように、それらの人達が何人程いるかを知るための質問などを入れておきました。

そして今年のアンケートからは、赤鬼や天狗が来る所に先回りして待つ人や、待つ間に祭りの屋台に寄る人など、より細分化された行動パターンを知ることができました。
今後はアクセスログから、ユーザがアクセスした際にいた位置を調べることで、前述した行動パターンの人達が実際にどれだけいたのか調査し、祭りの楽しみ方の実態を明らかにしていく予定です。

この他にもアンケートから、地元の人と他の地域から来た人で祭りの楽しみ方やアプリの使い方がどう違うのかなどクロス分析を行い、どんな層の人にどんな機能が必要とされているかを調べたりしています。

オープンデータ化

豊橋鬼祭で赤鬼と天狗が通る道筋が、安久美神戸神明社様からご了承をいただき、Open Data HIGASHI-MIKAWA上でオープンデータとして公開されています。

以前は手書きの地図などの紙媒体のみで扱われていた情報が「おにどこ」に際してデジタルデータ化され、さらに活用できるようになりました。2018年版と2019年版があります。
以下のURLより利用可能です。ぜひご活用ください!
https://opendatatoyohashi.jp/node/1631

「おにどこ」の実現まで

クラウドファンディング

今年の「おにどこ」の開発、運用に際して必要なコストを賄うためクラウドファンディングを行い、皆様から資金的なご支援を頂きました。34名の方々にご支援頂き、無事に目標金額を達成することができました。ご支援者の皆様のお名前を先ほどご紹介したホームページに記載しております。

・豊橋鬼まつり「おにどこ」への実施にご支援をお願いします! – クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
https://readyfor.jp/projects/o2doko2019

開発、運用風景

「おにどこ」の開発、運用には、おにどこ実行委員会と関わりのある豊橋技術科学大学の学生も何人か参加してくれました。

以下は鬼祭当日の「おにどこ」運用チームの様子、および鬼祭の風景です。

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テレビでの紹介

なんと!この「おにどこ」、テレビに取り上げて頂きました!

地元ローカルテレビのティーズさん、そして名古屋テレビさんではレポーターの方に実際にご使用頂き、使い方もご紹介頂きました!

おにどこ2019-名古屋テレビ1

おにどこ2019-名古屋テレビ2

鬼祭当日の様子

「おにどこ」の紹介やイベント当日の様子については、素晴らしい記事を書いてくださっているので、以下の記事をぜひご覧ください!

・平成最後の豊橋鬼祭 〜2019〜
https://tasuki-inc.com/onimatsuri2019/

また、Twitterでも「おにどこ」の利用者の方々から以下のお声を頂いております。

おわりに

伝統的な祭りに最新のテクノロジーを組み合わせるこの試みも、おかげさまで2回目を迎えることができました。
今回の実証実験で、祭りの観客や運営の利便性の向上や、祭りをもっと楽しめるようにすることについて、更なる知見を得ることができました。
今回得られた新たな知見を基に「おにどこ」を継続的なものにして改良し、より皆様に楽しんでいただけるようなものにしたいです。

今後もCode for MIKAWAでは、「おにどこ」を含めて豊橋の活性化につながる様々な活動を行っていきたいと考えています。
それではまた次のイベントでお会いしましょう!